上質な日々と暮らし。伝統と革新。

専務取締役/高江洲若菜さん -Wakana Takaesu

ー 琉球王国時代、「やちむん」が発展した地域である“壺屋”で誕生した育陶園の歴史を教えてください

先祖代々、壺屋で焼き物を作ってきました。もう300年ほどになります。戦前は一時満洲に移り住んで壺屋を離れていましたが、戦後に帰還して、1963年に5代目高江洲育男が高江洲製陶所を設立し、その後1988年にやちむん通りに店舗を構えて「育陶園」になりました。「人も陶器も、ここで育って大きくなって欲しい」という想いから育陶園と名付けたそうです。


壺屋という地域でいうと昔と今、どのように変わりましたか?

良くも悪くも変わりました。私が子どもの頃に見ていた景色はだいぶ変わってしまって、昔の建物もほとんどがなくなってしまいました。今はマンションや駐車場が目立ちます。小さな商店も、すーじ小(細い路地)もどんどん消えてしまって…そういうところは寂しいけれど、今は昔よりもお店も人も増えて、活気が出たので、そこはプラスに考えていきたいです。これからも、壺屋やちむん通り会で頑張って盛り上げていきたいです。


先祖代々から続く育陶園が、変えてきたこと、変えてこなかったことは何ですか?

一番大切なのは“人の手で生み出していく”ということで、これからも変えていきたくないです。人の手で生むということは、温かみを感じることもできるし、育陶園の原点だと思っています。モノの形はだいぶ変わっていると思っていますが、正直、“育陶園の形”というような決まりはなくて、その時代に必要とされているモノづくりをしています。


ー どのようなモノづくりを目指していますか?

時代・景色が変わっても、私たちがこの地でモノづくりを続けていくことで次の時代へと続いていくと思っています。育陶園は「モノづくりが好き」「壺屋が好き」「育陶園が好き」なメンバーが集まっています。常に真剣に、楽しく熱く、モノづくりに取り組み、美しい壺屋焼を目指していきたいです。


時代が変化していく中で、育陶園らしさを今の時代に表現していることは何ですか?

1970年以降、壺屋は登窯が使用中止になってしまい、今は新しく窯を入れるには、電気窯とガス窯しか使えなくなってしまったんです。仕上がりが登窯に近いとされている灯油窯も今は新しい導入は禁止されています。そのような状況なので「電気とガス、2種類の窯を使った一番良い表現ができたら良いな」と思っています。
登窯は釉薬の味わいや風合いが生かされるところが良いのですが、電気やガス窯は、比較的安定し、仕上がりがキレイなところが良いと思っています。その窯の特徴を活かして、私たちが特に力を入れている表現が「線彫」です。
一つ一つ丁寧に手彫りした柄を一定のクオリティーを保ちながらつくり続けることができます。そして、その線彫でメインに表現しているのが、やちむんの伝統的な柄「唐草模様」なのです。昔ながらの模様を少し変形させているので、和洋折衷どんな料理にも映えるんです。今の時代でも違和感なく使っていただけると思います。


どんな料理にも映えそうな器ですが、おすすめは?

お客様からも「どういうお料理を盛り付ければ良いですか?」と聞かれることが多いです。我が家の食器はほぼ育陶園のものなので、お客様からの問いにすぐに答えられるように、いろいろ盛り付けてみて相性を確かめています。例えば深皿だったら、煮物や汁物、パスタが合うと思います。イメージしやすいように、育陶園の器に手作りの料理を盛り付けて、インスタグラムに投稿しています。


どういう人に使ってほしいですか?

“手作りの味わい”を分かってくださる方、です。すべて手作りなので、貫入(陶器の表面に入る、模様のようなひび)も起ります。貫入のことを知らないと「ひびが入っている!」とびっくりされる方もいらっしゃいますが、貫入の入っていない、歪みのないモノを求められると、私たちの仕事自体が否定されているように感じることも。でも、それも陶器の魅力ですし、こういう味わいも含めて「好き」と言っていただける方に使っていただきたいです。



育陶園以外にも新たな器のシリーズを展開されていますが、こちらの特徴は?

2009年に「guma guwa(グマグワ)」、2011年に「kamany(カマニー)」を設立・オープンさせました。guma guwaのコンセプトは「軽やかな器」です。扱っているのは、シンプルで使い勝手の良い器。軽さと薄さと持ちやすさを追求して、女性の手にもなじみやすい器を目指しています。kamanyは「時を味わう」をテーマにデザインしています。“暮らしの相棒”のような器を目指していて、充実した毎日を過ごしたいと願っている人や、仕事・家事の合間や1日の終わりに使っていただきたいです。

ー アパートメントオキナワに参加してみて

アパレルが中心のチームだと思うんですけど、“ファッションと陶器”という新しい見せ方で、今までとは違った視点で陶器を見ていただけるのでは、と思っています。“食事と器”ではなく、“ファッションと器”という新しい目線・異なる切り口がほしいと思っていたんです。アパートメントオキナワに参加したことで、今までとは違う層のお客様にも出会えることが嬉しいです。

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